最寄り駅より徒歩約10分の新旧住宅が入り混じる閑静な住宅地に建つ、築61年の木造住宅。「終の棲家として、ながく快適に暮らせる家にしたい」とのお施主様のご要望を受け、耐震性と断熱性・気密性の向上、床の段差を減らしたバリアフリー計画、太陽熱の取得や風が通るような開口部の設計、回遊ができる動線計画など、さまざまな工夫を取り入れたプランをご提案。先代から引き継いだ大切な住宅をリノベーションすることで、今までの、そしてこれからの家族の思い出も紡いでいける、快適な居住空間が生まれました。
まず取り組んだのが、古い家屋の特徴でもある、耐震性能や断熱性能の低さをどう解決するかという課題でした。既存構造材に耐震リングや構造面材を新設することで、軸組みを強化。腐朽等していた材を新しい材に入れ替え、足固めを設け直すことで足元の構造強化を図り、耐震性能を高めました。また、既存の土壁を利用するとともに外断熱・内断熱施工を行うことで、断熱・気密性を向上。お施主様のお悩みの一つであった「寒さ」「隙間風」への対策と同時に、エネルギー消費を抑えられる計画としました。
断熱施工計画図(一部分)
耐震リングの設置、既存壁を合板補強、腐朽していた木材のやり替え、足固めのやり替えなどで耐震性を向上
2階南側和室の床を取り外し、吹抜け窓を設けることで、薄暗かった1階北側スペースにも南面からの光と風が届くようになりました。リビング、ダイニング、キッチン間の仕切りはなくし、床はバリアフリーとしています。また、スペース全体に風が通るよう、キッチン北側にも窓を新設するなど、開口部の設計も考慮しました。それぞれの場所から東庭を眺められる開放感に満ちた空間が、家族が集う時間をやさしく彩ります。
リフォーム後断面詳細図
仏間
居間
リビングやキッチンからも、東庭が眺められる間取りプラン。バリアフリーの床は掃除機やモップもかけやすいうえ、汚れがふき取りやすい床材を採用
吹抜けを設け、部屋の仕切りをなくした広々空間。断熱性を向上させたことで、冬は暖房の温もりを逃がさずあたたかく過ごせる
暮らしやすさを追求し、回遊できる動線計画をご提案。浴室、トイレ、洗面室などの水回りを集めるとともに、必要なものを近くでまとめておけるよう、収納スペースの配置にもこだわっています。キッチンも、回遊ができるアイランド型を採用。多人数で調理する際にもスムーズに動けるよう、十分なスペースを確保しました。また、ダイニングの簾戸のように、寝室や土間にも和風の建具を用いることで、リフォーム前の雰囲気を残しつつ、和モダンな印象の空間を創出。さらに、家族で楽しく集ったり、一人時間をゆったり過ごしたりできるよう、家の中にさまざまな居場所も設けました。
家族で一緒に調理や片付けができ、回遊もできるアイランド型キッチン。西・北側にも開口部を設け、採光や通風にも配慮
ダイニングのアクセントにもなっている簾戸は、リフォーム前の建具を再利用。簾戸を開けると、パントリー、仏壇置き場などになっている
リビングのアルコーブ下スペースを活かし、ライブラリーを造作。「おうち時間」が楽しく過ごせるよう、さまざまな居場所を計画
和の風情漂う、玄関・通り土間。太陽光の蓄熱も兼ねた、墨入りモルタルで施工
用途 | 個人用住宅 |
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築年 | 1963年11月 |
地域 | 滋賀県 |
工事概要 | 全面リフォーム |
工期 | 4カ月 |
延床/リフォーム面積 | 144.1㎡/144.1㎡ |
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構造規模 | 木造+コンクリート造2階建 |
地域区分 | 近隣商業地域(80/200) |
設計・施工 | 積水ハウス建設関西株式会社 |