田園風景と山に囲まれた郊外の高台に位置する、築90年以上の古民家。長く空き家になっていましたが、30代ご夫婦が結婚を機に受け継ぎ、設備を充実させるとともに性能を高めた住まいにリノベーションしました。美しい山の風景が望める南側に加え、山の緑の柔らかな光が感じられる北側の景色も取り込むことで、室内のどこからも緑を眺められるように。すべてをただ新しくするのではなく、南と北の両庭や、味のある古い建具を活かした温かみのあるプランを提案しました。便利さを享受しながら自然の豊かな景色を楽しむ、家族の穏やかな日々を紡いでいく住まいです。
北庭に面したダイニングの窓は1枚引込み戸にし、ダイニングと北庭を一体化。北庭からは室内に直射日光が入らないため、落ち着いたやわらかな光が常に届き、順光で近くの緑がキレイに見えるという効果があります。また、ご夫婦の希望であった薪ストーブも北窓横に設置。ダイニングのアクセントとなる鉄骨階段は、庭の緑と薪ストーブの炎を見つめながら会話が弾む、家族や仲間との集いの場となっています。
北側和室と広縁
和室とLDK
LDK
リビングから北庭をみる。北窓の1枚引込み戸はカーテンと窓枠を無くし、景色をピクチャーウインドウに見立てた。
2M角の1枚引込み戸。サッシ枠や取手、鍵が室内正面からは見えないため、1枚のFIXガラスのよう。
薪ストーブと同じ素材で、視線が抜ける鉄骨階段を採用。柱や建具、家具などの色をできるだけ統一することで、落ち着いた空間に。
室内のどこに居ても緑を眺められるよう、間取りと開口部にこだわりました。リビングと既存の和室からは南庭を、ダイニング・キッチン・寝室・浴室からは北庭を楽しめるよう配置。柔らかな光が常に入る、外からの視線を気にしなくてもよい、室内が暗くなることで緑が明るく感じられるといった、北庭の利点を活かした落ち着いた空間が生まれました。家具も、古民家と相性の良い北欧テイストを提案。緑が映える暮らしの風景に、よく似合っています。
リビング・ダイニングとの一体感を感じながら、調理や団欒を楽しめるアイランドキッチン。北庭の緑が、爽やかさと開放感を演出。
高台のため遠くの山々まで見渡せる、明るく開放感のあるリビング。和室に使われていた建具をけんどん式で活かし、仕切り壁として再利用した。
浴室の扉を開くと、洗面所からも北庭を望むことができる。デザイン面だけでなく、換気面にも配慮。
北庭に面した寝室。レース・ガラス戸・プリーツスクリーン・サッシ・シャッターと、シーンによって選択できるよう工夫。
築90年以上の古民家であることから、耐震補強及び耐久性や断熱性を高める工事も行いました。柱や土台は材を一部交換したり、必要な補強を加えたりすることで、安心・安全性を強化。壁・天井には断熱材を充填し、外壁新設部には透湿防水遮熱シートを取り付けました。また同時に、古い建具や材料も最大限に再利用。見える部分はもちろん、見えない部分にも細かく目を配り、長く快適に暮らしていける住まいを実現しました。
玄関・ホール
玄関はホール部分を無くし、リビングへの出入りもスムーズに (写真左扉から)。正面の飾り棚天板には、既存の欅の踏み板を再利用。
外観
既存の石積みはそのままで、フェンスや外壁の一部に手を加えた。古民家の雰囲気を損なわないように配慮。
長年使われてきた玄関扉を洗って再利用。コストを抑えるとともに、古き良きものを受け継いでいく象徴のような存在に。
用途 | 個人用住宅 |
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築年 | 築90年以上 |
地域 | 京都府 |
ご家族構成 | 3人家族 |
工事概要 | 1階リフォーム |
工期 | 4カ月 |
延床/リフォーム面積 | 156.23㎡/47.26坪 |
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構造規模 | 木造2階建 |
地域区分 | 田園住居地域 |
工事費 | 約3,500万円 |
設計・施工 | 積水ハウス建設関西株式会社 |