築60年の古民家は、昔ながらの構造で、トイレやお風呂などの水回りも屋外にあり、冬の寒さと段差の多さ、土葺き瓦の重さによる耐震性が問題でした。そのため、外張の断熱材を入れ、窓は二重ガラスの断熱サッシに替えて、断熱性を大きく向上。段差をなくした床には全面床暖房を施しています。屋根は葺き替えて軽量化を実現、外壁はトラバーチン柄の吹付け仕上げで、吹き付後になでて落とすことで風合いを出しています。玄関の位置を変え、道路側へ広げたため、並びに壁を新設して外見上の変化をつけ、断熱性の向上もはかりました。以前より高い位置から軒を深く出すことによって、玄関扉の位置とのバランスを整えています。
床には、床暖房対応の無垢材を使用。玄関の位置を変えたために新設された室内の通り土間から、既存の仏間へ部屋を通らず直接上がれるようになっています(写真①)。キッチンは廊下側の入口の他、窓側も通路を設け、ダイニングとの出入りがスムーズになるよう工夫(写真②)、キッチンとは別に奥様の家事室も新設しました。屋外にあったバス・トイレも室内へ。バスルームは広く、ジェットバスも備えられています。お施主様こだわりのシアタールームには、一部塗り壁を使用、ヒバ系の無垢材を厚く使用した土間への両面格子戸、LDKと一体感をもたらす4枚扉など、建具はすべて職人の手による特注品です(写真③④)。収納はオリジナルデザインの造作。照明は、お施主様のご希望でダウンライト中心、間接照明も多用したデザインとしました。既存の大黒柱をあえて見せる部分も作り、家の歴史も感じられるようになっています。
広くなり、段差もゆるやかになった玄関ホール
①部屋を通ることなく仏間へ上がってもらえる通り土間
②ダイニングとの通路も設けたカウンターキッチン
③重厚な格子戸を開くと外光が入るシアタールーム
④4枚扉を開けるとダイニングとの一体感が生まれる
仏間は柱、差し鴨居、天井はそのままに、内壁はジュラク塗壁、障子、畳を新調しました。
用途 | 専用住宅 |
---|---|
リフォーム面積 | 147.37㎡ |
構造規模 | 木造平屋建 |
工期 | 約6カ月 |
工事概要 | 全面改修 |
---|---|
築年数 | 約60年 |
家族構成 | 2人 |
設計・施工 | 積水ハウス建設関西株式会社 |
古民家大規模改修 お施主様と奥様